私はこれまでのキャリアを通して、データやそれを活用するための先進技術をビジネスの現場に役立てることを一貫したテーマとして取り組んできました。データサイエンスというと、話題になっている先進技術にばかり目を向けがちです。しかし本質的には正しく適切な情報で業務の進行をサポートすること、すなわち「データに基づく意思決定」にいかに貢献するかということが大切だと思っています。必ずしも先進技術が必要というわけではない。理想的なあり方は、データの力と個人の経験・能力のハイブリッドです。金融業界は、まだ人の経験に頼る部分が多いでしょう。客観的に判断して、データやテクノロジーにまかせられるところはまかせていく。それによって業務の効率は上がり、その結果、働く人はその人が本来最も能力を発揮でき、価値を生み出せる領域に注力することができるようになっていきます。
データの活用はお客さまにも大きなメリットをもたらします。たとえば信託銀行には、さまざまなチャネルを通じてお客さまの声が入ってきます。これらを集約し、自然言語処理など適切な手法を駆使して分析、提案内容の改善や新商品開発に生かしていくことで、信託銀行はお客さまにとって、もっともっと魅力的なものになっていくはずです。
ビジョンとして掲げた「共創と革新」を実現するために、私は、個の力が重要だと考えています。Trust Baseには多様なバックグラウンドの優秀な人材が集まっています。その一人ひとりが、案件のニーズを見極めながら自律的に考え行動し、「自分の作品」と誇れるような成果を立ち上げていってほしい。そうした取り組みが、銀行の現場に新たな価値を提供することにつながると考えています。
DXは、IT・Web業界から進み、他の業界はこれから本格的に広がっていくフェーズにあります。金融業界は、業界特有の規制や慣習などもあってその推進はこれからであり、ある意味、ブルーオーシャンです。まだ誰も気付いていない価値を発見し創造する可能性にあふれています。課題を確実に解決する成功事例を、ユーザーとなる信託銀行の事業部とともに、これから一つひとつ積み上げ、世の中に発信していきます。近い将来、Trust Baseは「DXでとても面白いことをやっている会社」、社会にそう認識されると信じています。
Chief Analytics Officer田島 玲