私は三井住友信託銀行に入社以来、個人財務の相談から、法人融資、資産運用・信託機能を活用した商品の企画など、さまざまな業務を経験してきました。ただデジタルの領域に触れることはありませんでした。2017年にIT業務推進部に配属され、ここでRPAを全社に導入するというプロジェクトを通じて、IT・システムを学び、デジタルテクノロジーの進化の一端に初めて触れました。これまで人の手で行われていたことがテクノロジーによって自動化され高度化されていく。これまで自分が経験してきた信託銀行の業務は、そのプロセスはもとより、ビジネスそのものも大きく変わっていくだろうと実感しました。
Trust Baseが三井住友トラスト・グループのDXを推進するうえで大切にしなければならないと感じていることがあります。それは「信託」の役割です。信じて託す、まさにその言葉の通り、信託銀行は、信頼を基に構築された商品・サービスに資産を託していただき、お客さまや社会に還元してきました。こうした営みを変化する時代に対応しながら連綿と続け、社会的価値と経済的価値を両立してきた歴史があります。第4次産業革命ともいわれる大きなデジタル化の潮流のなかで、テクノロジーを活用して信託が果たしてきた機能を拡張させることこそが、私たちのミッションなのです。
たとえば、金融各社が共通で利用できるプラットフォームの創造、デジタルアセットによる資産運用の多様化など、DXは金融業界をさまざまな側面から一変させていくでしょう。私たちは、その「変化の起点」でありたいと思っています。まず先陣を切って新たなフィールドに取り組み、いち早く具体化する。そうすることで、金融業界はもちろん、広く社会に気づきや刺激を与える存在でありたいと考えています。
とはいえ、今は誰も先を見通せず、しかも正解のない時代です。だからこそ、つねに前向きにトライすること。チャレンジを繰り返すことが大切だと思っています。結果よりも、そこに至る過程で何を学んだか、次に何を生かしていけるかが重要だからです。スティーブ・ジョブズの言葉“Connecting the dots”ではありませんが、私自身、これまでのさまざまな経験に無駄なことなどひとつもなく、すべては人生のどこかにつながっていると考えています。目の前のことを楽しみ、果敢にチャレンジしていると可能性は広がっていくものです。
デジタルの力で「共創と革新」を進めていくために、Trust Baseには多様な経験やノウハウ、価値観を持つ人材が集まっています。なかなかユニークな集団です。多様性を武器にしながら、好奇心や冒険心を忘れることなく、新しい時代に挑んでいきたいと思っています。
Chief Operating Officer平方 壽人