私たちは「共創と革新」をビジョンとして掲げました。この言葉には、より開かれた視点でお客さまや社会に貢献していこうという意思が込められています。従来金融機関の多くは自前でシステムを作り、自らのお客さまにだけサービスを提供してきました。それが業界の基本的なスタンスです。そこから発想を転換していこう。たとえば三井住友信託銀行の口座をお持ちでないお客さまであっても、当社の商品やサービスを気に入っていただけたなら、当社のシステムを経由しないでサービスだけを利用できるようにするなど、我々の良いところと外部のリソースを組み合わせて、まったく新しい形を創造していく。従来のシステムや顧客基盤の考え方から脱却し、オーブンイノベーションを推進することでより多くの人々の役に立つことこそが、共創という考え方の原点なのです。共創が進めば、そこに代謝が生まれ、自然と革新につながっていくと考えています。
革新のために何より大切なのは、想像力です。いや、妄想力といってもいいかもしれません。金融や社会の常識にとらわれていたら、どうしても今の延長線上にとどまってしまう。そうではなくて、型にはまらない発想で「こんなサービスがあったらいいな」、「私たちのめざす金融の未来は、こんな世界だ」、これをまず大胆にイメージしてみる。そこに向かうステップは小さくてもいい。デジタルテクノロジーを駆使して、一つひとつ着実に具体化していく。その積み重ねの先には、これまで誰もが絶対に無理だと思っていた領域があると思っています。
「共創と革新」を実現するために、組織のあり方も重要です。トライ&エラーを繰り返し、失敗から得た知見は皆で共有し、次に生かす。決して失敗を恐れることなく、挑み、突き進んでいくような社内文化をしっかり作っていきたい。新しい会社として立ち上がったばかりですが、私はここに集まった人々のマインドセットが日々高まっていくのを肌で感じています。銀行というバックボーンを生かしながら、何か新しいことを成し遂げてやろう。そういう気概というか野望を持った人の集団ですので、きっと驚くようなことを実現してくれる。私はそう確信しています。
当社のミッションは三井住友トラスト・グループのDXを推進することですが、それはグループの理念である「社会のサステナブルな発展」に直結していると考えており、真摯に取り組んでいきます。綺麗事と思われるかもしれませんが、私はそこにこだわっていきたい。Trust Baseは、夢を描いて実現するテクノロジー企業です。その夢に共感した社員一人ひとりが楽しく働きながら、「自分が取り組んでいることは社会を良くすることにつながっている」、そう実感してほしいからです。ワクワクするような未来に向かって走り始めた、私たちTrust Baseに期待してください。
取締役 CEO田中 聡