Trust Baseが別会社として立ち上げられたことには意味があります。それはDXの推進を通じて、まったく新しいことを成し遂げるために他なりません。我々は今、銀行のカルチャーや開発環境とは一線を画した、きわめて自由度の高い「デジタルの実験場」といえるような場を創りあげています。マルチクラウド環境で、最新のクラウドサービスやソフトウェアを自在に駆使しながら、アイデアを出しては試し、形にして検証する、ということを繰り返す。イノベーションが起きやすい理想的な環境で、私たちは動き始めています。
私なりの視点ですが、我々が強く意識していかなければならないことの一つに、「ストックのバリエーションを増やす」ということが挙げられます。売上、収入、GDPなどフローばかりがメディアや人々の関心事になっていますが、豊かな国、豊かな人々はストックを蓄積し、それを元にフローを生み出し、さらにストックを増やしています。信託銀行のミッションは、企業や個人のストックを守り、運用し、増やすこと。デジタルテクノロジーの進展によって、この「守り、運用し、増やす」ことのバリエーションを増やし、高付加価値化が図れるようになってきました。Trust Baseは、ここに貢献しなければならない。信託銀行のDXを推進し、企業の成長や個人の資産形成にさらに寄与できるようにしたいです。
もうひとつ、重要なのが情報セキュリティです。金融インフラのイノベーションを進めるために、クラウドを活用して人・情報・モノを流通させようとしている。デジタル化された資産や情報を不正侵入やハッキングなど高度化するサイバー攻撃から守るためには、「ゼロトラストセキュリティ」の導入が不可欠です。すべてを信頼しないことを前提としたセキュリティ対策を講じる。Trust Baseは、DXの両輪として、ゼロトラストセキュリティにも力を注いでいます。
フィンテックサービスなどデジタルテクノロジーは日々進化し、欧米を中心に世界から新たな情報が発信されています。我々は日常から興味のアンテナを高く立てて、新しい情報をとらえ、新しい体験をし、知識を蓄えていくことが大切です。そして、問題意識を持って解決策を導くために、蓄えた知識をフルに活用して思考する。新たな組み合わせを考え、新たな可能性を模索していく。この取り組みを我々は、価値観、経験、感性の異なる多様な仲間とともに行っていきます。共創することで、その能力は最大限に発揮できる。Trust Baseだからこそ見ることのできる世界があると私は考えています。
Chief Digital Officer萩島 功一